研究科長あいさつ
岩手大学大学院連合農学研究科長 木村賢一
岩手大学大学院連合農学研究科は、国内に6つある連合農学研究科の中で一番北に位置している博士課程のみの大学院です。日本の食料生産基地として重要な東北地方の3つの大学(弘前大学、岩手大学、山形大学)の農学系研究科(修士課程)を基盤組織として、各大学の枠を越えた相互協力のもと、幅広い農学領域における学術研究の進歩と関連産業並びに社会の発展に寄与する高度専門的能力、加えて豊かな人間力と社会人力を備えた研究者・技術者を養成することを目的としています。
1990年に岩手大学を基幹校として設置されて以来、1000人を超える博士(課程博士と論文博士)を世界各地に輩出し、それぞれ一人一人が、さまざまな課題の解決に向けて活躍しています。その基盤は、本研究科におけるグローバルとローカルの両方を兼ね備えた特徴的なカリキュラムにあります。「科学英語」、「研究インターンシップ」、「国際学会コミュニケーション」などのクローバルマインドの育成をめざしたものに加え、ローカルな課題を解決する能力を養う「科学コミュニケーション」と、新たに開始する「研究力向上セミナー」などを実施し、国際的視点と学際的視点の両方を見る目を養うことをめざしています。
現在、地球上を取り巻く食料、資源、環境、エネルギーなどの状況はきわめて厳しいものとなっています。人類はその状況を少しでも改善し、グローバルなレベルで持続可能な社会を築いていく必要性に迫られています。2015年9月の国連サミットで採択された持続可能な開発目標(SDGs)には、農学に関連したものが数多くあることから、博士課程修了者が果たす役割は今後も益々大きくなっていくと思われます。
岩手大学大学院連合農学研究科は、持続可能な社会の実現を目指して、社会をリードするリーダーたちを育成する重要な高度教育・研究機関と位置づけられます。3つの構成大学の人的および研究資源、それにそれぞれの大学の特徴的な教育風土を活かしつつ、グローバルな視点とローカルな視点を融合させることで、持続可能な世界の実現を担う人材の育成と輩出に向け、さらなる機能強化を目指していきたいと考えています。